「新しい戦略を立てたのに、現場が動かない」「組織図を書き換えたが、社風が変わらない」 多くのリーダーが直面するこの問題。原因は、組織を構成する「要素」の連動性が断ち切られていることにあります。

組織変革を単なるスローガンで終わらせず、実態を伴うものにするためには、組織の全体像を捉える「7Sフレームワーク」の視点が不可欠です。

1. 部分の変革では止まる。組織は生き物である

組織変革が途中で止まってしまう最大の理由は、特定の一部だけをいじろうとするからです。

たとえば、戦略(Strategy)だけを新しくしても、それを実行するための能力(Skill)が不足していたり、旧態依然とした思想・行動習慣(Style)が残っていたりすれば、新しい戦略は拒絶反応を起こして機能しません。組織はそれぞれの要素が密接に絡み合った生き物であり、一つの歯車を動かすには、他の歯車との噛み合わせを調整する必要があるのです。

Nuevo Labの組織風土活性化ソリューション


2. 7Sフレームワークとは?

7Sフレームワークとは、1980年代に世界的なコンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーによって提唱された、組織の全体像を捉えるための分析ツールです。 組織を構成する要素を7つのSで始まるキーワードで定義し、それらの相互関係を明らかにします。

最大のポイントは、組織をハードのSとソフトのSの2つのグループに分けて捉える点にあります。

ハードのS(組織の形を作るもの)

  • Strategy(戦略)

  • Structure(組織構造)

  • System(仕組み)

    これらは経営陣が計画図やルールとして直接的に定義・変更しやすいため、ハードと呼ばれます。

    ソフトのS(組織の血を流すもの)

    • Shared Value(共通の価値観)

    • Skill(スキル)

    • Staff(人材)

    • Style(経営スタイル・社風)

      これらは人の意識や慣習に関わる部分であり、形が見えにくく、変えるのには時間と対話が必要です。しかし、変革を完遂させるためには、このソフトのSの変容こそが鍵となります。

      7S構成要素の詳細

      分類

      要素名(日本語)

      要素名(英語)

      定義・内容のポイント

      核(共通)

      共通の価値観

      Shared Value

      事業の存在意義、基本の価値観。すべての要素の拠り所となるもの。

      ハードのS

      戦略

      Strategy

      競争優位性を築き、価値を提供していくための事業計画や方向性。

      ハードのS

      組織構造

      Structure

      戦略遂行に最適な組織・体制・機能。役割分担や権限の割り振り。

      ハードのS

      仕組み

      System

      人や組織を効率的に動かすための制度(評価、報酬、管理、会議体など)。

      ソフトのS

      人材

      Staff

      組織に必要な人材像、役割権限、人数配置、採用の考え方。

      ソフトのS

      スキル

      Skill

      価値提供や組織運営を支える具体的な能力、技術、得意分野。

      ソフトのS

      経営スタイル

      Style

      企業文化、日常の中で体現される社員の思想・行動習慣。

      マクドナルドの7S分解例(当社にて公表データをもとに作成)

      分類

      要素名

      内容・分析のポイント

      Shared Value

      おいしさと笑顔を、地域の皆さまに。食の安全・安心を基盤とした、顧客体験の最大化。

      ハード

      Strategy

      デジタル・デリバリー・ドライブスルーの強化。バリュー戦略による来店喚起。

      ハード

      Structure

      直営とフランチャイズの強固なネットワーク。店舗に権限を持たせる実行力ある組織。

      ハード

      System

      モバイルオーダー、アプリによるマーケティング。高度なサプライチェーン管理。

      ソフト

      Staff

      多様な人材(ピープル)の活用。働き方の柔軟性とダイバーシティの推進。

      ソフト

      Skill

      ハンバーガー大学による標準化。接客(ホスピタリティ)とスピードの両立。

      ソフト

      Style

      QSC&V(品質・サービス・清潔・価値)を徹底する規律と、実行重視の風土。

      4. 変革完遂に向けた3つのステップ

      分析を終え、実際に組織を動かしていくためには、以下の3つのステップで変革を完遂させることが有効です。

      ① シェアードバリューの再定義と対話

      すべての中心にある「Shared Value(共通の価値観)」を今の時代に合わせて再定義します。単に言葉を決めるだけでなく、その価値観がなぜ必要なのか、組織がどこへ向かうのかについて、社員一人ひとりと丁寧に対話を重ね、腹落ちさせるプロセスが不可欠です。

      ② 従業員の有能感を高める教育施策の実行

      新しい価値観や戦略を実行するためには、それに見合った「Skill(スキル)」が必要です。従業員が「自分にはできる」という有能感(自己効力感)を持てるような教育施策を展開します。スキルが身につくことで、変化に対する不安が自信へと変わり、主体的な行動が生まれます。

      ③ 仕組みの変更による後戻りの防止

      人の意識やスキルが変わっても、評価制度や業務プロセスなどの「System(仕組み)」が旧態依然としたままだと、組織は必ず元の状態に戻ろうとします。新しい行動を称賛する評価制度への変更や、変革を支える仕組みを「ハード」として固定することで、逆戻りを防ぎ、変革を定着させます。

      関連記事:東海の伝統企業が挑む組織OS刷新

      5.東海の企業が自走する組織へ進化するために

      Nuevo Labが目指すのは、一過性の改善ではありません。 「人の成長への投資」が「組織の成長」を呼び、それがそのまま「事業の進化」へと直結する好循環を創ることです。

      組織変革は、図面を書き換える「作業」ではなく、血を通わせる「プロセス」です。

      理屈としての「ハード」を整えるだけでなく、人の心や習慣に関わる「ソフト」の要素にまで深く踏み込み、それらを一貫性のあるものに調整し続けること。その粘り強い取り組みこそが、組織に真の躍動をもたらします。7Sという地図を手に、一歩ずつ、着実に組織のあり方をリデザインしていきましょう。

      関連記事:実録!組織変革ストリー。最高益を更新。その前に現場では何が起きたのか?


      [Nuevo Labへのお問い合わせはこちら]
      東海近隣エリアは、対面でのご相談も承っております。