「最近の若手は、何を考えているのかわからない」「ギリギリまで抱え込んでしまう」

そんなマネージャーの方々の悩みに対し、現場のリアルな声を代弁できるのは、年間で延べ数百名以上の新人・若手社員と向き合い、彼らの葛藤を間近で見てきたからだと自負しています。

彼らの「抱え込み」は、決してサボりでも能力不足でもありません。むしろ、デジタルネイティブ世代ゆえの「真面目な生存戦略」が、皮肉にもボタンの掛け違いを生んでいるのです。今回は、研修の現場で見えてきた、彼らが「人を頼れない」本当の理由を紐解きます。

1. 「分かりました」の裏にあるデジタル相談

10年、20年前の若者であれば、分からないことがあればその場で先輩に聞くしか道はありませんでした。しかし、今の若者には「インターネット」や「AI」という、24時間いつでも優しく答えてくれる強力な味方がいます。

業務指示を受けた際、彼らはまずこう考えます。

「その場で聞いて上司の手を止めるのは申し訳ない。後でググれば(AIに聞けば)解決できるはずだ」

だから、その場では「分かりました」と返答します。しかし、ここに大きな落とし穴があります。

2. AIが答えられない「社内特有の知識」という壁

彼らがネットやAIで解決できるのは、あくまで一般的なスキルや知識だけです。

  • AIが答えられること: 「Excelの関数の組み方」「一般的なビジネスメールの定型文」

  • AIが答えられないこと: 「この案件の過去の経緯」「○○部長が重視するポイント」「自社特有の専門用語」

    若手社員が最も行き当たるのは、後者の「社内特有の文脈(ハイ・コンテキスト)」です。デジタルに相談しても答えが出ない。かといって、後になって「実は分かりませんでした」と聞きに行くのは、自分の無能さを露呈するようで勇気が持てない。

    こうして、締め切り直前になって「実は進んでいませんでした」という悲劇が起こります。

    3. マネージャーの誤解:「ホウレンソウ能力」の欠如ではない

    上司サイドから見ると、「今の若者はホウレンソウができず、扱いづらい」と感じるかもしれません。しかし、それは能力の欠如ではなく、「まずはデジタルに相談する」という思考習慣の結果に過ぎません。

    彼らは幼少期から「ググれば答えが出る」世界に生きてきました。大学時代にはAIが登場し、その傾向はさらに加速しました。彼らにとって、他人の時間を奪う「アナログな相談」よりも、効率的な「検索」を選ぶのは、ある意味で洗練された最適解だったのです。その習慣が、社内の人間関係においては裏目に出てしまっているだけなのです。

    今ドキ若者の取説:育った時代背景とは?

    4. 「何でも聞いて」が機能しない理由

    よく先輩社員は「分からないことがあれば何でも聞いてね」と親切に声をかけます。しかし、新入社員にとって「何が分からないのか」を言語化することは、非常に高度なスキルです。

    暗闇の中にいる人に「どこが暗いか言って」と言うようなものです。見えないからこそ、どこが分からないのかも分かりません。

    彼らに必要なのは、「何でも聞いてね」という放置に近い自由ではなく、こちらから道を照らす「寄り添い」です。

    • 「何が分からない?」ではなく「どこまで進んだか画面を見せて」と聞く。

    • 「いつでもいいよ」ではなく「今日の16時から5分だけ話そう」と時間を切る。

      そうした小さな「関わりのデザイン」が、彼らの抱え込み癖を解消し、自走への一歩を支える力になります。

      管理職が自走チームを作るための実践ガイド


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