あなたの組織では、同じ問題が繰り返されていないだろうか。 不良品や納期のミスに対応した翌月、また似たようなトラブルが起きる。会議で改善策を決めたのに、現場に浸透しない。部署や拠点ごとに品質のバラつきがある——。
問題が起きるたびに全力で対処する。その「モグラ叩き」の繰り返しに疲弊している経営者や現場リーダーを、私たちは東海エリアの製造・サービス業の現場で何度も見てきました。
この記事では、現場が疲弊から抜け出すカギとなるレバレッジポイントという考え方と、それを組織で活用するための具体的なアプローチを解説します。
この記事でわかること
- 同じ問題が繰り返される現場が陥っている「モグラ叩き状態」の構造的な原因
- レバレッジポイントとは何か——小さな一点を変えるだけで複数の課題が解決される仕組み
- 優秀なリーダーほど「急所」を見逃し続けてしまう2つの理由
- 明日から現場で試せる「レバレッジデザイン」の実践アプローチ
【目次】
- 導入:「真面目に対処し続ける」ことの落とし穴
- 1. レバレッジポイントとは何か:組織の「急所」を特定する
- 2. なぜ現場はレバレッジポイントを見逃し続けるのか
- 3. 実践:レバレッジポイントを現場で活かす3つのステップ
- 4. 経営者が明日から変えられる「最初の一手」
- 執筆者プロフィール
導入:「真面目に対処し続ける」ことの落とし穴
製造・飲食・介護など、多くのスタッフを抱える東海の現場を回っていると、経営者から切実な声を耳にします。
「トラブルの件は対応させたが、また似たような問題が出てきて」 「拠点ごとにやり方が全然違って、ガバナンスが効いていない」 「新しい方針を出すたびに、現場がついてこれなくなっている」
こうした現場が抱える問題の多くは、表面の火消しをいくら丁寧にやっても、根本からは解決しません。なぜなら、問題を生み出している構造そのもの(組織OS)に手を付けていないからです。
「問題が起きたら即対応」はプロとして当然の姿勢です。しかし、緊急の課題に全力で当たり続けていると、重要だが今すぐ燃えていない「根本課題」に手をつける時間が永遠に取れなくなる。これが「モグラ叩き状態」の正体です。
1. レバレッジポイントとは何か:組織の「急所」を特定する
レバレッジ(Leverage)とは「てこの原理」を意味します。小さな力で大きな物を動かす、あの仕組みです。
レバレッジポイントとは、"ここを変えれば複数の課題が連鎖的に解決される"という、組織の根本的なポイントのことを指します。表面に現れている個別のトラブルではなく、それらを同時に生み出している構造的な原因です。
たとえば、こんなケースを考えてみてください。
- 部署ごとにサービス品質がバラつく
- 現場リーダーが各チームの状況を把握しきれていない
- 判断基準が属人化しており、人によって対応が異なる
これらは別々の問題に見えますが、よく観察すると「価値判断の基準(共通言語)が可視化されていない」という1つの根本が、すべてを生み出している場合があります。ここがレバレッジポイントです。
2. なぜ現場はレバレッジポイントを見逃し続けるのか
多くの現場で、なぜこの「急所」は放置されてしまうのでしょうか。理由は2つあります。
2-1. 緊急の問題が「重要な問題」を追い出す
現場のリーダーは、目の前のトラブル対応を優先します。それは正しい判断に見えますが、実は落とし穴です。 重要だが今すぐ燃えていない「根本課題」は後回しにされ続け、気づけば1年後も同じ問題を抱えている。これが「表面的課題解決思考」の限界です。
2-2. 課題の「因果関係」が見えていない
個々のトラブルを独立した出来事として認識している限り、それを引き起こしている共通の構造は見えてきません。現場の課題は複雑に絡み合っていますが、そのつながりを可視化する手法を、多くの組織は持っていません。
3. 実践:レバレッジポイントを現場で活かす3つのステップ
では、どうすればレバレッジポイントを見つけ、活用できるのか。私たちが現場伴走で実践している流れを紹介します。
3-1. 現場の課題を「列挙」し、因果関係でつなぐ
まず、現場の課題を網羅的に書き出します。次に、「この問題はなぜ起きているか」と掘り下げ、問題同士の因果関係を可視化します。どこを変えれば最も多くの課題が動くか。その「急所」を特定します。
3-2. レバレッジポイントを「仕組み」に組み込む
急所が特定できたら、そこを起点にして研修、マニュアル、評価指標を一体的に設計します。レバレッジポイントを軸に置くことで、教育が現場の成果に直結するようになります。
3-3. 変化を「定着」させる
仕組みを作って終わりにせず、定期的な対話を通じて現場の状態を確認・調整します。リーダーが自分の現場の課題を可視化し、自走し始めること。それが最終的なゴールです。
4. 経営者が明日から変えられる「最初の一手」
モグラ叩きから抜け出すことは、一夜にしては成し遂げられません。しかし最初の一手をどこに打つかで、変化のスピードは劇的に変わります。
今、繰り返されている問題を3つ書き出してみる その問題に共通する"根っこ"がないか、一度疑ってみてください。
現場のリーダーに「一番根本的な問題は何だと思う?」と聞いてみる 現場の声の中に、レバレッジポイントのヒントが隠れていることが多々あります。
「正しさ」で指示するのをやめ、「構造」を問いかけてみる 「なぜこれが起きると思う?」という問いかけが、現場のOSを書き換える第一歩になります。
Nuevo Labでは、現場の課題構造を可視化しレバレッジポイントを特定する「Leverage Design Work Shop」を提供しています。
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こんな課題をお持ちの経営者の方へ
- 同じトラブルが何度も繰り返されており、根本解決ができていない
- 改善策を決めても現場に浸透しない、すぐに元の状態に戻ってしまう
- 拠点ごとに品質のバラつきがあり、マネジメントに限界を感じている
- 「自分は正しいことを言っているはずなのに、なぜ伝わらないのか」と孤独を感じている
このような課題をお持ちの場合、まずは一度、エグゼクティブ・ダイアログを通じて組織の「急所」を整理してみませんか?
執筆者プロフィール
塩田 昌弘 / 株式会社Nuevo Lab コンサルタント
大手飲食チェーンで18年間、人手不足やハラスメントが当たり前の過酷な現場を経験。「現場の痛み」を誰よりも知るからこそ、「現場のエネルギーこそが業績を変える」という揺るぎない確信を持つ。 元ハンバーガー大学プロフェッサー、元飲食チェーン副社長を経て現職。「博愛のジャックナイフ」と呼ばれるほど、深い愛情と鋭いフィードバックで現場のOSを書き換えるスペシャリスト。現在は東海の製造・サービス業を中心に、**Leverage Design**を通じた組織変革を支援している。







