「最近、現場はどうなっていますか?」

私たち株式会社Nuevo Labが、静岡県内のある飲食店で行っている伴走プロジェクト。世界最高峰のオペレーション知見を持つNuevo Labメンバー・塩田昌弘との定期報告は、現場の「熱」と「痛み」がダイレクトに伝わる時間だ。

このプロジェクトは今、戦略の可視化を終え、最も泥臭く、かつ最も本質的な「人間関係の変革」というフェーズに突入している。


【目次】


1. 創業の想いを「地図」に宿す

プロジェクトの第一歩として、私たちはまずレバレッジデザイン・ワークショップを実施した。

そこで作り上げたのは、単なる業務フロー図ではない。創業者が何を大切にし、どの動作がお客様の笑顔に繋がっているのか。その店舗にしか出せない「勝ち筋」であるレバレッジポイントをを可視化した、世界に一つだけのレバレッジマップだ。

マップが完成したとき、現場には「自分たちの仕事の価値」が一本の線で繋がった、確かな手応えがあった。しかし、戦略が見えたからといって、すぐに組織が回り出すわけではない。

バラバラの点から、価値への一本の線へ(レバレッジマップ)

2. 浮かび上がった、現場の「窒息」

「結局、今の問題は『現場の人間関係』なんだよね」

現場を見つめ続ける塩田の分析は、鋭く、本質を突いている。 戦略という「地図」はできても、それを運ぶ「人」の心がバラバラでは、組織は前進しない。

例えば、責任感の強さゆえに「ルールを守ること」を厳しく徹底しようとするベテラン。一方で、その熱量に圧倒され、萎縮してしまう若手スタッフ。 塩田は、この状態を「口をきかない夫婦のような雰囲気」と表現する。

上がギスギスしていれば、下(スタッフ)は声をかけられない。お互いに「自分の正しさ」をぶつけ合い、相手の中に「悪意」を見出してしまう。この不毛な衝突が、現場のエネルギーを奪い、離職やサービスの停滞を招く。これこそが、多くの飲食店が陥っている「窒息」の正体だ。


3. 認知のOSを書き換え、強みを武器に変える

この窒息を解くために、今Nuevo Labが現場に投入しているのが、個人の捉え方を変える「認知のアップデート」だ。

  • 「アスーム・イノセンス(悪意はない)」という視点 相手の言動を「攻撃」と捉えるのではなく、「相手には相手の善意がある」という前提で受け止めてみる。この認知OS(成人発達理論)の導入により、ベテランの責任感は「チームを守る盾」に、若手の感性は「未来を創るエンジン」へと再定義される。

  • 「正しさ」ではなく「強み」で繋がる 「なぜあの子はこう動けないのか」と欠点を探すのではなく、ストレングス・ワークショップ)を通じて、一人ひとりの才能を可視化する。特定の物事に驚異的な集中力を発揮するメンバーがいれば、その特性をどうオペレーションに組み込むか。それをチーム全員で面白がれる文化を創るのだ。


4. 店舗改革は、働く人の「人生改革」である

驚くべきことに、この学びを深めた店長やスタッフからは、「仕事が楽になった」という報告だけでなく、「家庭での子育てが劇的に変わった」という声まで上がっている。

共通の地図(レバレッジマップ)を持ち、互いの認知を理解し、強みを認め合う。 これは単なる売上向上のための手段ではない。「お客様に価値を届ける」という日常の動作を通じて、働く人が人として成長し、より豊かな人生を歩み始めるためのプロセスだ。

静岡の小さな現場で起きているこの変革は、日本中の「現場」を持つ企業にとっての希望になると、私たちは確信している。

Nuevo Labと「ジャックナイフ」塩田の挑戦は、まだ始まったばかりだ。


現場を支えるプロフェッショナル

塩田 昌弘 / Masahiro Shiota

Senior Consultant

博愛のジャックナイフ・塩田 昌弘

大学卒業後、大手メーカーを経て大手飲食チェーンへ。18年に及ぶ在籍期間の多くを、深刻な人手不足、過酷な労働環境、そしてパワーハラスメントが蔓延する「現場の最前線」で過ごす。

その中で、誰よりも「現場の痛み」を痛感してきたからこそ、「現場のエネルギー向上こそが業績の源泉である」という信念を貫く。人財開発コンサルタントへ転身後は、ホールシステムアプローチ、NVC(非暴力コミュニケーション)、ティール組織といった理論を、理想論に留めず「現場の泥臭いプロセス」に落とし込む独自の手法を確立。

社内大学の構築や講師育成のスペシャリストでもあり、深い愛情をベースにしながらも、成長を阻む甘えには一切の妥協を許さない。その鋭くも温かいフィードバックの姿勢から、顧客には”博愛のジャックナイフ”と呼ばれ、全国に熱狂的なファンを持つ。


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執筆者プロフィール

寺澤 のぞみ / 株式会社Nuevo Lab 代表取締役

不動産ベンチャー、人材開発コンサルを経て株式会社Nuevo Labを設立。現場に密着した伴走支援を通じ、指示待ちから脱却した「自走する組織」を数多く創出してきた。製造・飲食・介護・保育など、多くのスタッフを抱える現場の組織変革を専門とし、対話を起点にした人材育成と組織OS構築を支援している。