「最近の若手は、何を考えているのかわからない」 「淡々とこなしてはいるけれど、どこか他人事のように見える」そんなふうに感じ、もどかしさを抱えているリーダーの方は少なくありません。

けれど、研修で数百人の若者たちと向き合って気づいたことがあります。彼らは決してやる気がないわけではなく、ただ「自分の仕事がどこに繋がっているのか」という地図を見失っているだけなのです。

今回は、ある研修で目撃した、一人の女性社員の表情が劇的に輝いた「10分間の対話」のエピソードをお届けします。

1. 「ミスをしないこと」が目的になっていないか

彼女の業務は、営業が獲得した契約内容をシステムに入力し、保険会社へ送るデータを作成することでした。日々のKPI(重要業績評価指標)は「ミスのない入力」。 そのため、彼女にとっての仕事のゴールは「画面上の数字を、正確に、滞りなく処理すること」に固定されていました。

「誰のためのデータ?」「どんな意味があるの?」と問いかけても、最初はなかなか答えが出てきません。細分化された業務の中で、彼女はパズルのピースを淡々と埋める「作業員」になっていたのです。

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2. 問いが引き出した「その先のユーザー」

しかし、対話を重ねる中で、彼女の中に変化が起きました。 「もし、この入力にミスがあったらどうなると思う?」

この問いから、彼女の思考はPC画面を飛び出し、その先にある現実へと動き始めました。

  • データに不備があれば、保険会社との契約が成立しない。

  • もし、その間に契約者様(ユーザー)が事故に遭ってしまったら。

  • 保険が適用されず、その方の人生を左右するような事態を招くかもしれない。

    「私のミスは、ただの事務ミスではない。お客様の安心を壊すことなんだ」 そのことに気づいた時、彼女の仕事に対する定義が劇的に書き換わりました。

    私の仕事は「信頼を担保すること」

    「では、改めて聞きます。あなたの仕事は何ですか?」

    そう問い直した時、彼女は力強くこう答えました。 「ユーザー様が安心して車に乗れるよう、そのための信頼を担保するのが私の仕事です」

    その瞬間、それまで淡々と答えていた彼女の表情がパッと明るくなり、目には強い意志の光が宿りました。 「作業」が「使命」に変わった。まさに、組織の中に「自走する意志」が芽生えた瞬間でした。

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    3. 経営層・管理職が渡すべきは「作業」ではなく「意味」

    今の若者は、意味のない作業に耐える「根性」がないのではありません。むしろ、「自分の仕事が誰の役に立っているのか」という手触り感を、上の世代以上に強く求めています。

    業務を細分化し、KPIで縛るだけでは、人は「データの入力機」になってしまいます。

    • その作業の先に、誰の笑顔があるのか?

    • もし、あなたがその仕事を止めたら、誰が困るのか?

    • 私たちの存在意義(パーパス)に、その作業はどう繋がっているのか?

      これらを語り、問い続けること。 効率化の名の下に削ぎ落とされた「仕事の意義」を現場に手渡すことこそが、今の時代のリーダーに求められる最も重要な役割ではないでしょうか。

      Nuevo Labの管理職研修「チーム最適化研修」


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