「自分で決めたこと」と「人から言われたこと」。 この間には、エベレストほどの高い壁がある。そう思ったことはありませんか?
先日、4歳になる息子が、私の目の前でその壁を泥臭く乗り越える瞬間を見せてくれました。 それは、どんなに立派な経営理論よりも生々しく、「組織が自走を始める瞬間」の正体を教えてくれる出来事だったんです。
【目次】
1. 自立の土台:理論よりも「本人の意思」を待てるか?
心理学に「エリクソンの発達段階」という考え方があります。 特に3歳〜6歳ごろは「積極性」を育む時期と言われていて、ここで周囲が「ああしなさい」「それはダメ」と強制しすぎると、子供は自分の意志を持つことに「罪悪感」を抱くようになってしまう。
私はこの話を地でいこうと決めていました。 だから息子のオムツ外しも、いわゆる「トイトレ」的な強制は一切しなかった。ひたすら「本人の自立」が顔を出すのを待ったんです。
2. 3歳の誕生日に訪れた「命がけの葛藤」
一度は「パンツで行く!」と意気込んだものの、お漏らしのショックで「やっぱりオムツに戻る…」と挫折した息子。そこから3ヶ月、沈黙の期間が続きました。
変化が起きたのは、3歳の誕生日。 彼は寝室で、1時間もの間、自分自身と戦っていました。
「パンツで行きたい。でも、お漏らしするのは怖い。でも、オムツだと赤ちゃんになっちゃう……」
暗闇の中で聞こえてくるその呟きに、私は胸が熱くなりました。 これ、大人の組織でも全く同じことが起きていませんか? 「変わりたい。でも、失敗して評価を下げるのは怖い。でも、今のままじゃダメなのはわかってる……」 あの時息子が戦っていたのは、変化への「心理的抵抗」そのものでした。
最終的に、私の「失敗しても大丈夫だよ」という一言を背負って、彼は自分の意志で「パンツを履く」と決めました。
3. 結論:本人が決めた瞬間、OSが書き換わる
驚いたのは、その直後の変化です。
それまで、寝る前にどれだけ「トイレに行こうね」と促しても「嫌だ!」と拒否していた息子が、自分で「パンツで寝る」と決めたその日から、自分からトイレに行くようになったんです。
親が必死にアプローチしても動かなかった習慣が、本人の意思決定(OSの書き換え)一つで、当たり前の行動に変わった。
結局、人は「納得して自分で選んだこと」に対してしか、真の駆動力を発揮できないんだと、息子に教えられた気がします。
👉 [本人が動き出す「急所」を見極める:レバレッジポイントとは?]
4. 経営者の仕事は「防水シート」を敷いて待つこと
この経験から、私がリーダーの皆様に伝えたいレバレッジポイント(急所)は一つです。
私は、息子がいつ「パンツで寝る」と言い出してもいいように、布団の下に防水シートをこっそり敷いて準備していました。
「失敗しても、致命傷にはならないよ。お漏らししても大丈夫な準備はできてるよ」という環境だけ整えて、あとは本人が決めるまで、じっと待つ。
多くの組織では、この「防水シート」を敷かずに「早くパンツを履け(自走しろ)」と強制するか、あるいは失敗を恐れていつまでも「オムツ(過干渉な指示)」を外させないかのどちらかに陥っている。
メンバーの自走を阻んでいるのは、本人の能力不足ではありません。 「本人が決めるための余白」と「失敗を受け止める側の準備」が足りないだけじゃないでしょうか。
あなたの組織には、メンバーが安心して葛藤し、自ら決断できる「防水シート」が敷かれていますか?
個人の意志を尊重しながら、組織としての成果を最大化する。その具体的な設計図を、現場の生々しい視点で一緒に描きませんか。
👉 [組織の「防水シート」と「急所」を設計する:レバレッジポイントWSはこちら]
👉 [一人ひとりの強みから自走を始める:ストレングスWSはこちら]
執筆者プロフィール
寺澤 のぞみ / 株式会社Nuevo Lab 代表取締役
不動産ベンチャー、人材開発コンサルを経て株式会社Nuevo Labを設立。現場に密着した伴走支援を通じ、指示待ちから脱却した「自走する組織」を数多く創出。一人の親としての生々しい体験と、組織開発の専門知を融合させ、体温の通った変革を支援している。







