「もっと主体性を持ってほしい。」

面談で伝えた。本人も「気をつけます」と答えた。それなのに、次の仕事でも同じ場面で止まってしまう。

そんなとき、上司は「伝えたのに、なぜ変わらないのか」と感じるかもしれません。

ただ、本人に面談の内容を聞いたら、「主体性が足りないと言われました。でも、次に何をすればいいのかは、よくわかりません」と答える可能性もあります。

上司が気になったことと、部下が変えられる行動。その間は、言葉でつながっているでしょうか。

この記事では、仕事を振り返り、改善を伝えるフィードバックを考えます。以下の場面・会話・確認項目は説明例であり、特定の企業や顧客の事例ではありません。トップ画像もイメージイラストです。

「主体性が足りない」を、実際の場面に戻す

「主体性」「責任感」「積極性」は、期待をまとめるには便利な言葉です。一方で、何をしたら期待に近づけるのかは、その言葉だけでは決まりません。

例えば、上司が「主体性が足りない」と感じたのは、次のどの場面でしょうか。

  • 会議で自分の考えを求められたとき、答えなかった。
  • 期限に間に合わないとわかった後も、相談がなかった。
  • 問題を報告した際に、対応の選択肢が示されなかった。

必要な支援は、それぞれ違います。考えを整理する準備、遅れを伝える条件、選択肢を考える練習など、扱う内容が変わります。

最初に、いつ、どんな仕事で、何を見聞きしたのかを書き出します。そのうえで、仕事にどんな影響があり、何を期待していたのかを分けます。

「責任感がない」ではなく、「提出予定日の夕方まで、遅れる見込みの連絡がなかった」。性格の判断を急ぐ前に、二人で確かめられる出来事へ戻します。

具体的に伝えた後も、本人の話を聞く

具体的な指摘にすれば、必ず行動が変わるわけではありません。同じ出来事でも、本人が見ていた状況は上司と違うことがあります。

例えば、期限前の相談がなかった場面を振り返るなら、次のように話せます。

上司:「昨日の提出予定に対して、夕方まで遅れる見込みの共有がなかったね。確認する時間が取れず、後の作業も変更になった。どの時点で、予定どおりには難しいと思っていた?」

部下:「前日には難しいと思いました。ただ、途中の状態で相談しても、まだできていないと言われる気がしていました。」

この返答から、本人が「遅れていると気づいていなかった」のか、「気づいていたが相談をためらった」のかが分かれます。

上司は、すぐに「それでも相談すべきだ」と結論づける前に、以前のやり取りも振り返れます。途中で相談された際に、完成していない点ばかり指摘していなかったか。ほかの上司から違う指示が出ていなかったか。

本人の受け止めを聞くことと、必要な改善を曖昧にすることは別です。事情を確かめたうえで、次はどうしてほしいかを明確にします。

「気をつけます」を、次の仕事で試す行動にする

フィードバックの終わりに「次から気をつけてね」と伝えただけでは、二人が違う行動を思い描いているかもしれません。

先ほどの例なら、次の依頼で試すことを一つ決めます。

上司:「次の資料作成では、締切に間に合わない見込みが出た時点で、完成を待たずに声をかけてほしい。今できている部分と、止まっている理由を一緒に確認しよう。」

部下:「まだ整理できていない部分があっても、できているところを持って相談すればいいんですね。」

上司:「そう。そのときに、何を先に仕上げるか、こちらでも判断する。次の案件で試して、終了後に一度振り返ろう。」

確認するのは、部下の約束だけではありません。上司が相談を受けたときに何をするかも共有します。

「いつでも相談して」と伝えていても、実際には時間が取れないなら、連絡方法や不在時の相談先を決める必要があります。期限を守れない背景に仕事の集中があるなら、優先順位や分担の見直しも必要です。

伝え方を練習することと、業務の条件を整えることを、両方考えます。

次の面談では、人格ではなく試した行動を確かめる

次に振り返るとき、「主体性が出てきたね」だけで終えず、何が変わったかを確認します。

  • 決めた場面で、実際に相談できたか。
  • 相談したことで、仕事の進め方を調整できたか。
  • 上司は、約束した確認や判断に対応できたか。
  • 試してみて、まだ難しかったことは何か。

例えば、「今回は完成前に相談があったので、締切前に範囲を調整できた」と伝えれば、続けてほしい行動と、その意味を共有できます。

変化がなかった場合も、「やっぱり意識が低い」と戻す前に、行動できなかった条件を確かめます。相談すべき状態の認識が違ったのか、タイミングが取れなかったのか、仕事の難しさを把握できていなかったのか。必要に応じて、次に試すことを調整します。

人事が管理職研修を選ぶなら、言い換えの先まで見る

フィードバックを研修テーマにするときは、「柔らかく注意する言い方」を覚えるだけで終わらせないことが大切です。

実際の職場で困っている場面を、個人や顧客を特定しない形に整理し、管理職役と部下役でやり取りしてみます。受け手役には、言われた内容から「次に何をするか」がわかったか、どこで判断に迷ったかを返してもらいます。

その反応をもとに、観察したこと、期待する行動、本人への問いかけを見直す。こうした練習を通じて、自分の言葉がどう受け取られるかを確かめられます。

また、研修前には、職場として期待する役割や基準が管理職の間でそろっているかも確認します。評価制度の変更や人員配置の問題など、研修で扱う範囲を超える課題は、別に整理する必要があります。

直近の「気になる部下」を、一つの場面から考える

次に改善を伝える前に、直近の出来事を一つ選んでみてください。

何が起き、仕事にどう影響し、次はどんな行動を期待するのか。

そこまで言葉にしたうえで、本人が何を見て、どう考えていたのかを聞く。その対話を、次の仕事で試す行動と、上司の支援につなげます。

「変わってほしい」という思いを、相手が取り組める形にする。フィードバックは、その具体化から見直せます。


部下育成の対話を、職場で使える形にしたい方へ

Nuevo Labの管理職研修では、役割の理解や相手との違いの理解を踏まえ、傾聴・質問・承認などの働きかけを練習します。企業の課題と対象者の経験に合わせて内容を検討し、職場で試す行動を考えます。

「注意しても伝わらない」「面談後の行動が変わらない」といった場面から、ご相談いただけます。伝え方だけでなく、期待の共有や、相談を受ける側の関わりも含めて、研修で扱う内容を整理します。

静岡を拠点に、愛知をはじめ東海エリアを中心に全国対応。対象者や実施時期が決まる前でも、現在困っていることをお聞かせください。

相手の強みを理解する関わりの参考に

エッグシステム株式会社のチームづくりの事例では、強みの理解と対話を起点にした取り組みをご紹介しています。本記事のフィードバック方法の成果を示すものではなく、一人ひとりの違いを理解する参考としてご覧ください。

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